
A 明確なスタートラインはありません。まずはご自分のために読んでみて
「まだ赤ちゃんだから、早すぎるかな」
「ちっとも絵本に興味を持ってくれないけど、大丈夫?」
そんな声をよく耳にします。
子どもが生まれると、絵本の読み聞かせを勧められる場面が増えますよね。
だからこそ、「読まなくちゃ」と、悩む方が多いのかもしれません。
特に、目もはっきり見えておらず、反応も薄い赤ちゃんに対して
「絵本を読んでも意味があるの?」と感じるのは、自然なことです。
実は、絵本には「この時期から始めましょう」といった明確なスタートラインはありません。
でも、近年の研究では、妊娠中の胎児でも母親の声に反応することがわかっていますし、
生まれたばかりの赤ちゃんも、語りかける声やリズムから安心感を得るとされています。
絵本には、自然に語りかける行為や、リズムのある文章が含まれているんです。
とはいえ、「今は絵本より、まず睡眠やミルクで精一杯」という時期もありますよね。
その通りです。まずは子どもの基本的な生活が安定していることが大前提です。
絵本は、「余裕ができたら始めてみる」くらいの気持ちで、じゅうぶんです。
読み聞かせの目的は、早期教育ではありません。
大切なのは、「関係性の土台」を築くこと。つまり、読み手の声やまなざしを通して、安心感や愛着を育むことに意味があるのです。
■ 迷っているなら、まず一冊を「自分のために」選んでみてください
「絵本を読んでみようかな」と感じたら、書店の絵本売り場や、図書館の絵本コーナーに立ち寄ってみてください。
「この絵、かわいいな」「読んでみたいな」と思った一冊でOK。
まずはご自身の感覚を信じて選んでみてください。
そしておすすめしたいのが、その一冊を、まずは「自分のために」読んでみることです。
声に出して読むと、リズムや言葉の音の心地よさに気づくかもしれません。
その感覚をそのまま、赤ちゃんやお子さんと“分かち合う”ことが、絵本の第一歩です。
大切なのは、「読んであげる」よりも「一緒に楽しむ」という意識。
目の前でページをめくり、声を添える――それだけで、「あなたと一緒にいるよ」というメッセージはしっかりと伝わります。
こうした小さな積み重ねが、やがて子どもにとっての言葉の世界への入り口になります。
うまく読もうとしなくて大丈夫。
読む時間が取れない日があっても、大丈夫。
「関わりとしての絵本」という視点を、どうか忘れずに。
■ 一人で抱えずに、誰かに相談してもいい
「でも、やっぱりうちの子は絵本に興味を示さない」
「読み聞かせがうまくいかない。疲れてしまう」
そんなふうに感じたときは、ぜひお近くの保健センターや図書館の読み聞かせ、地域保育園の開放日、地域の子育て支援拠点などを利用してみてください。
「こんなこと、相談するほどじゃないかも」と思いながら、不安を抱え続けているよりも、気軽に聞いてみましょう。
絵本に限らず、どんなことでも「話を聞いてもらえる場所」があることは、子育ての大事な支えになります。
わたしも活動を通じて、あなたの「相談したい」という気持ちをいつでも歓迎しています。
「絵本を読むこと」は、子育ての“評価”ではありません
絵本を読むことは、義務ではありません。
そして「きちんとできているかどうか」を測る子育ての評価軸でもありません。
育児の中で、「できることを」「できる形で」取り入れればいいのです。
絵本は、子どもと向き合う日々の中で使えるひとつの手段。
だからこそ、その手段を自分らしく選び、使えるようになることが、きっと子育てを少し楽にしてくれます。
これからも、具体的な方法をブログや講座を通してお伝えしていきます。


