
A. 同じ絵本ばかり読みたがるのは「満たされる」から
■ えっ、またこれ!? 毎晩同じ絵本で大丈夫?
「きょうもこの絵本?」
「ほかの絵本も読もうよー」
毎晩の読み聞かせで、子どもが同じ絵本ばかり読みたがることに、
ちょっとウンザリなんです。この話は、本当によく聞きます。
親としては、「せっかくなら、いろいろな絵本に触れて、たくさんの世界に出会ってほしい」。
でも、子どもが同じ絵本を繰り返し読みたがるのには、ちゃんと理由があるのです。
■ 繰り返しを好むのは「満たされる」から
大人にとっての「飽きる」とは、すでに知っていたり、刺激が物足りなくなった状態。
でも、子どもにとっての繰り返しは、「安心」「予測できる喜び」「発見の積み重ね」です。
ある研究では、繰り返し同じ絵本を読むことで、語彙の定着率が高まるという結果も出ています。何度も同じ言葉やフレーズに触れることで、子ども自身が言葉のパターンや物語の構造を自然とつかんでいくのです。
繰り返しには、ちゃんと意味があるのです。
■ 「予測できること」の安心感が、心の土台を育てる
特に3歳くらいまでは、「予測できること」が何よりの安心材料。
次に何が起こるかがわかっているからこそ、「待つ」「期待する」「比べる」など、大人にはわからない、より深い読みの力が育ちます。
たとえ親が飽きていても、子どもは同じ絵本の中で「違う読み方」をしていわけです。
昨日は主人公の「おばけ」が気になっていたのに、今日は反対のページにいる「くまの表情」に注目している——
そんなふうに、注目するポイントを自ら変化させる力も、繰り返しだからこそ、生まれているんです。
■ 今日からできる、少しラクになるヒント
そうは言っても、読んでいる大人が飽きてしまうのも、わかります。
そんなときは、こんな読み方はどうでしょう。
- 子どもが好きなページだけ読む:「今日はここだけね」と短縮読みもOK
- 「ママ(パパ)は今日は聞いてる役ね」と交代してみる:子どもが読んでるマネをするでOK
- わざとセリフを変えて、子どもに「ちがうよ!」と言わせてみる
- 絵本の途中で次の展開を聞いてみる:「次、なんだったっけ?」「あれ、食べたっけ?」など
こうすることで、ただ読むだけの時間を、対話のある時間へと変えていくこともできます。
■ それでもしんどいときは
どうしても余裕がない日も、ありますよね。
「また!?」という気持ちが強すぎて、読むのがつらい。
そんなときは、無理をしないことも大事な選択です。
- 「今日は読まないで、ママがお話しするね」と、即興のお話をしてみる
- 自分の一日をお話みたいに語ってみる。「朝、黒い雲がパパを追いかけてきたんだ」など
- 少し年齢が上がったら、読み手を子どもにお願いするのも◎
「ちゃんと読むこと」にこだわらず、遊びに発展させると、大人も楽しめる時間になります。
■ 「繰り返し読む」は、深い味わい
子どもが同じ絵本を繰り返し読みたがるのは、飽きていないからではなく、深く味わっているから。
一冊丸ごとじっくりと吸収していく、豊かな学びのプロセスです。
だから、焦らずに、こちらがちょっとした工夫してみましょう。
一冊の絵本を、親子でめいっぱい楽しみ尽くすつもりで遊んでみてください。


